建て替えよりも、今ある家を活かす選択肢として「家まるごとリフォーム」を検討する人が増えています。
住み慣れた家を維持しながら、使い勝手や性能を一新できるのは大きな魅力です。
しかし、全面的なリフォームは工事範囲が広く、費用や工程も複雑になりがちです。
何にどれだけ費用がかかるのか、どんな点に注意すればよいのかを整理しておくと、後悔のない選択につながります。
この記事では、そのポイントをご紹介します。
家まるごとリフォームの内容と費用の目安
家まるごとリフォームに含まれる主な工事内容
「家まるごと」とは、内装・外装・設備機器までを対象とした大規模なリフォームを指します。
一般的には、以下のような工事が含まれます。
・間取りの変更や壁の撤去・新設
・キッチン、浴室、トイレなど水回りの設備更新
・外壁や屋根の修繕・塗装
・内装(床・壁・天井)の張り替え
・給排水管や電気配線の更新
工事の範囲や仕上げ材のグレードによって、同じ規模でも費用には幅があります。
建物の構造別に見るリフォーム費用の傾向
建物の構造によっても、かかる費用には差があります。
1.木造住宅の場合
間取り変更の自由度が高い一方、耐震補強が必要になるケースが多く、費用は1,000万〜2,000万円程度が目安です。
2.鉄骨造の場合
壁の移動制限があることが多く、1,500万円〜2,500万円が一般的な相場になります。
3.RC造(鉄筋コンクリート造)の場合
構造上の制約が大きく、設備の配管更新も大がかりになるため、2,000万円〜3,000万円以上かかることもあります。
また、築年数が古いほど劣化部分の補修が増えるため、費用は上振れしやすくなります。
費用を左右する条件と優先順位の考え方
リフォーム費用を大きく左右するのは、工事の範囲と仕様のグレードです。
例えば、システムキッチンひとつとっても、50万円〜200万円と大きく差があります。
コストを抑えるには、優先順位の明確化が重要です。
「安全性(耐震・断熱)」「快適性(水回り)」「見た目(内装)」のどこに重点を置くかを整理し、必要な工事とそうでない工事を切り分けましょう。
全体の予算を決めたうえで、設計者や工務店と相談しながら最適なプランを構築していくことが成功への近道です。

家まるごとリフォームを成功させるための注意点
建物診断と耐震・断熱性能の確認が重要
リフォームを始める前には、建物の現状把握が欠かせません。
目に見えない部分に劣化や損傷があると、工事中に予想外の出費が発生することがあります。
耐震診断を行い、必要に応じて耐震補強を検討することが重要です。
また、断熱性能が低い場合は、断熱材の追加や窓の性能向上などを同時に行うことで、快適性と光熱費の削減にもつながります。
「見えない部分にこそ費用をかける」姿勢が、長く安心して住むための鍵となります。
リフォーム時に気をつけたい法規制と手続き
大規模なリフォームでは、建築基準法や地域の条例に関わるケースもあります。
たとえば、増築を伴う場合や、耐震補強によって構造に手を加える場合などは、建築確認申請が必要です。
また、準防火地域や都市計画区域内では、仕上げ材の制限があることもあります。
これらの規制を見落とすと、後から設計変更や追加工事が必要になるため、計画段階から行政に相談することが推奨されます。
計画から工事完了までの進め方とチェックポイント
リフォームは以下のような流れで進みます。
・現地調査とヒアリング
・プランと見積もりの提示
・契約・設計詳細の詰め
・着工・中間チェック
・竣工・引き渡し
このプロセスで大切なのは「確認と記録」です。
見積書の内容、仕上げ材の品番、工期のスケジュールなどは必ず書面で残しておきましょう。
また、工事中も現場を定期的に確認し、予定通りに進んでいるかを把握することで、トラブルの予防につながります。

まとめ
家まるごとリフォームは、単なる内装変更にとどまらず、家全体の性能や使い勝手を見直す大規模なプロジェクトです。
内容によっては建て替えに匹敵する費用がかかるため、費用の内訳や優先順位を明確にすることが重要です。
また、耐震・断熱の性能向上、法規制の確認、計画の進め方など、多くの点に注意を払う必要があります。
段階的に進めるよりも、まとめて改修することでコストパフォーマンスが高まることもあります。
長く快適に暮らすための選択肢として、家まるごとリフォームをしっかりと検討していきましょう。