フルリノベーションの費用相場と内訳建て替えとの比較でわかる最適解

  • コラム
フルリノベーションの費用相場と内訳建て替えとの比較でわかる最適解

古い住まいを現代のライフスタイルに合わせて刷新したい、その想いを叶えるフルリノベーション。
しかし、理想の空間を実現するためには、やはり気になるのが費用面です。
新築のような快適さを手に入れられる一方で、一体どれくらいの費用がかかるのか、その内訳や、将来的な資産価値まで見据えた検討は不可欠でしょう。
ここでは、フルリノベーションにかかる費用について、相場や内訳、そして建て替えとの比較を通じて、賢い選択を導くための情報を提供します。

フルリノベーションの費用相場と内訳

フルリノベーションの総額費用の目安

フルリノベーションの総額費用は、物件の築年数、構造、延床面積、そして選択する建材や設備のグレードによって大きく変動しますが、一般的には新築マンションの購入費用と比較して割安になるケースが多いとされています。
例えば、中古マンションをリノベーションする場合、物件購入費を含めた総額で、新築マンションの7割程度に収まることも珍しくありません。
戸建て住宅においても、築年数や建物の状態によりますが、数千万円規模の予算が想定されることが多く、小規模なリフォームとは異なり、断熱性能の向上や間取りの大幅な変更、水回りの移動などを伴うため、それに比例した費用がかかります。
具体的な目安としては、中古マンションの場合、物件価格を除いたリノベーション費用単体で、1平方メートルあたり10万円から20万円程度が一般的であり、3LDKの広さであれば500万円から1,000万円以上、物件によってはそれ以上の予算を見込む必要があります。

費用の主な内訳

フルリノベーションの費用は、大きく分けて「本体工事費」「設計・監理費」「諸経費」の3つで構成されます。
本体工事費は、解体工事、構造補強、断熱工事、内装工事、設備工事(キッチン、バス、トイレ、給排水、電気など)、外装工事(戸建ての場合)など、実際に建物を改修する部分に充てられる費用であり、全体の7割から8割を占めることが一般的です。
設計・監理費は、プランニングやデザイン、工事中の品質管理などを行う専門家への報酬であり、総額の1割から1.5割程度が目安となります。
諸経費には、確認申請などの各種申請費用、登記費用、ローン手数料、火災保険料、仮住まい費用、引っ越し費用などが含まれ、残りの1割から2割程度を見込んでおく必要があります。

費用を左右する要因

フルリノベーションの費用を大きく左右する要因として、まず挙げられるのが建物の構造や築年数です。
鉄筋コンクリート造のマンションは構造壁を撤去できない制約がある一方、木造戸建てでは耐震補強の必要性が生じる場合があり、それぞれに異なる工事費用が発生します。
また、水回りの移動や増設は、配管工事が複雑になるため、費用が高くなる傾向があります。
さらに、使用する建材や設備のグレードも、費用に直結します。
標準的な設備で抑えるか、デザイン性の高いオーダーメイド品や高機能な設備を選ぶかで、数十万円から数千万円単位の差が生じることもあります。
断熱改修や耐震補強といった、目に見えにくい部分への投資も、長期的な視点では重要ですが、初期費用に大きく影響します。

フルリノベーションと建て替えの費用比較はどう違う?

建て替えとの費用差額

フルリノベーションと建て替えを比較する際、単純な工事費だけで見ると、多くの場合、既存の建物を活用するフルリノベーションの方が、解体費用や基礎工事、構造躯体工事などを新たにゼロから行う建て替えよりも安価になる傾向があります。
特に、中古物件の購入費用とリノベーション費用を合算しても、新築の同等物件より大幅にコストを抑えられるケースが一般的です。
例えば、築古の戸建てを建て替える場合、基礎工事から屋根工事、内外装すべてを新しくするため、3,000万円〜5,000万円以上かかることも少なくありません。
一方、同じ建物をフルリノベーションする場合、構造や断熱、間取り変更の内容にもよりますが、1,000万円〜2,000万円程度で、新築に近い快適な住まいが実現できる可能性があります。
ただし、建物の構造、劣化状況、立地条件によっては、建て替えの方が結果的に安価になる、あるいはリノベーションの自由度が低いという判断に至る場合もあります。

費用以外の比較検討項目

費用面だけでなく、フルリノベーションと建て替えには、それぞれメリット・デメリットが存在するため、多角的な視点での比較検討が重要です。
フルリノベーションの利点としては、既存の建物を活かすことで、建材の無駄を減らし、環境負荷を低減できる点が挙げられます。
また、法規制や周辺環境との調和を図りながら、個性的なデザインを実現しやすいという特徴もあります。
一方で、建物の構造的な制約や、断熱・耐震性能の限界、将来的な資産価値への影響などが懸念される場合もあります。
対して建て替えは、構造、間取り、設備など、すべてを最新の基準で新しくできるため、断熱性や耐震性、耐久性において高い水準を期待できます。
しかし、建築確認申請などの手続きが複雑になり、工期も長くなる傾向があります。
また、地盤改良が必要な場合や、容積率・建蔽率の制限などで希望通りの建築ができない可能性も考慮する必要があります。

選択の判断基準

フルリノベーションと建て替えのどちらを選択すべきかは、個々の状況や優先順位によって異なります。
まず、建物の構造的な状態や耐震性能を専門家(建築士など)に診断してもらい、その結果を踏まえることが重要です。
構造的な問題が大きく、改修費用が高額になる場合は、建て替えが現実的な選択肢となることもあります。
次に、所有している土地の法規制(容積率、建蔽率、用途地域など)を確認し、建て替えによって希望する延床面積や間取りが実現可能かどうかも検討材料となります。
また、デザインの自由度、省エネ性能、将来的な資産価値、そして何よりも予算といった要素を総合的に比較し、ご自身のライフスタイルや将来設計に最も合致する選択肢を見極めることが肝要です。
長期的な住み心地や、売却時の価値なども考慮に入れ、目先の費用だけでなく、トータルコストと満足度で判断することをおすすめします。

まとめ

フルリノベーションは、理想の住まいを実現するための有効な手段ですが、その費用は物件の状態や選択する仕様によって大きく変動します。
総額費用はおおよそ数百万円から数千万円に及び、本体工事費、設計・監理費、諸経費に細分化されます。
建て替えと比較すると、多くの場合コストを抑えられますが、建物の構造や法規制、デザインの自由度、省エネ性能、将来的な資産価値など、費用以外の多角的な視点からの比較検討が不可欠です。
専門家への相談を通じて、建物の状態を正確に把握し、ご自身のライフプランに最適な選択をすることが、後悔のない住まいづくりへの第一歩となるでしょう。

コラムの最新記事